知られていない人間が本を出すということ

占い芸人、本を出す 第二回 知られていない人間が本を出すということ
占い芸人・ますかた一真が本を出す! 何もかもはじめてだらけのなかで感じた、本を出すよろこび、不安、苦労など、ますかたさん自身がつづる出版日記をお届けします。

6月21日(月)

月12ハウスN太陽×T火星コンジャンクション

6月9日に打ち合わせをしたものの、別の仕事の打ち合わせや、映画占いのための映画鑑賞や、いつかやるかもしれない夢占いのための睡眠などに精を出す忙しい日々が続いている。ほとんど執筆は進まなかった。決してサボっていたわけではない。

筆が進まないのも「何から書き始めればいいのかがわからない」という生まれいづる悩みに原因があった。

世にあまたある占いの本の中で、ぼくが書く意味とは何なのか? どうすればよりわかりやすい占いを伝えられるのか? そんなことを考えながら、いたずらに日々が過ぎていた。

占いギャザリング

この日は『占いギャザリング』というザッパラス主催のオンラインイベントに登壇した。様々な占い師さんや占い業界の方々をゲストにむかえて、トークを繰り広げるというイベントだ。

ぼくは、某有名占い番組をプロデュースした演出家の方と対談させていただくことになっていた。その冒頭でこの演出家の方をぼくが占うという構成になっていたのだけれど、ここで予想外のことが起こった。

占いギャザリング

内心ぼくは占い結果を伝えたら「ここが当たっている!」とか「これ誰にも言ってないのに!」みたいなリアクションをもらえることを期待していた。あわよくば何かしらの仕事がもらえるかも、とさえ思っていた。しかし、ひとしきり占い結果を伝えた後、その演出家の方の、

「つかみが無い」

との一言でバッサリと斬り伏せられてしまったのだ。

多くの人に占いを届けるためには、難しい説明や知識よりもまず「気になる一言」が大事である。その方はそう仰っていた。それが当たっているかどうか、ためになるかどうかよりも、まずは聞いている人を惹きつける、引き寄せる力のある言葉。それが大切だと。

占いをやっていてここまでバッサリとダメ出しをされたのは初めてだった。それにショックを受けながら、同時にこれまでちょっと優しくされすぎていたんだなと己を省みることになった。そして、あの頃を少し思い出した。吉本の養成所時代、講師の作家さんに漫才やコントをボロクソにダメ出しされまくるのが当たり前だった日のことを。

この日のダメ出しは、これから不特定多数の人に向けて本を書こうとしているぼくにとって、指針になるのではないかと思う。

Twitterのフォロワーが3000人にも満たないぼくにはネームバリューは皆無。だとしたら書店で手に取ってくれた方が数ページめくっただけで、「こいつのことは知らんけど、この感じなら読みたいな」と思う本にしないと。

ホロスコープ

この日トランジットの月は12ハウスに入っている。12ハウスに月がある日は「自分に足りないものを見直す日」だ。まさに足りないものに気付かされることになった。

また、この日からぼくのホロスコープの太陽にトランジットの火星が重なった。これは闘志が溢れることを意味する。頑張ろうという気持ちになれた。同時に太陽と火星の重なりは、「怒り」を表す。そういえば吉本の養成所時代、ボロクソにダメ出ししてきた講師の方をにらみつけて、先輩にボコボコにされたことがあった。

イベントのオンラインでの配信中に、あのときの眼差しになっていなかったことを、ただ祈るばかりだ。

2021-8-5(毎月第一木曜日 19時更新予定)

著者プロフィール

ますかた一真(ますかた・かずま)

ますかた一真(ますかた・かずま)

占い芸人。2018年、株式会社ザッパラス主催の「占い芸人育成プロジェクト」で優勝。映画検定を持ち、運気を上げるラッキー映画をオススメする「映画占い」を考案。占い雑誌「マイカレンダー」(説話社)にてコラムを連載中。原宿の占い館「塔里木」にて対面鑑定中。

Share

記事をシェアする

guest
1 Comment
Inline Feedbacks
View all comments
mako
mako

当たってるかどうかよりも、まずは聞いている人を惹きつける、引き寄せる力のある言葉が大切…なるほどなぁ。

この連載の記事

Others

配信中の記事