
――占いをなりわいにしている人が抱える悩みや不安。1人で考えても解決しないことも多いでしょう。これまで多くの占い師の相談にのってきた、占いカフェ&バー「燦伍(さんご)」のオーナー占い師である千田歌秋さんが、あなたのお悩みにお答えします!
今回は、2月13日に配信したスペース「悩みがあいまいな相談者…どうやって占うべき内容を引き出す? “ならでは”お悩み相談室」をもとにお届けします。
第20回
悩みがあいまいな相談者…
「占うべき」内容を
引き出すには?
「鑑定の場で、“今年はどうなりますか?”といったざっくりとした相談をされて、全体的な運勢をみるのですが、徐々に場がなじんだころに深めの相談(実は本当に相談したいこと)が出てきて鑑定時間が足りなくなってしまうことがあります。
このような場合、どうやって“占うべき”内容を引き出せばいいのでしょうか?」
今回は、鑑定の現場における占的の絞り方に関するお悩みですね。お客様の本当に占いたいことをうまく引き出せずに、納得のいく占いができないまま鑑定時間が終わってしまう、といった事態を避けるにはどうすればいいのでしょうか?
考えられる理由のひとつに、お客様との信頼関係、心理学でいうところのラポールを築けていないということがあります。
占い館を訪れるお客様の多くは、初対面の占い師を前にしたらやはり緊張するのではないでしょうか。そんな状況でいきなり占い師に「何を占いましょうか?」と聞かれても、なかなか本当の悩みは言い出せません。それで「とりあえず、仕事運を…」などと、あいまいな質問を伝えてしまうのです。
このようなことを回避するためにも、鑑定の場面ではいち早くお客様との信頼関係を築くことを重視してください。
信頼関係を築くには?
信頼関係を築くには?
お客様との間に信頼関係を築くのは、簡単なことではありません。心を開くきっかけや心の距離感はひとりひとり違うので、「これ」という正解のないことだからです。 特に占い師は、初対面のお客様の繊細な心の領域に踏み込んでいくわけですから、かなり難易度は上がりますよね。
信頼関係を築くのに有効な方法として、にこやかな表情で場を和ませて、相手の緊張をほぐしていくというスタイルがおすすめです。もしくは、優しく丁寧に占いについての説明を尽くすとか、占い師らしい厳かな雰囲気を演出するのもいいでしょう。そうすることで、お客様も真剣に占いに向き合おうとしてくれるはずです。やり方は人それぞれで構いません。独自の方法論を持てばいいのです。
知らない人に信頼してもらうスキルを磨くには、初対面の人と会う機会を日常的に作って習慣化するのがおすすめです。はじめてのあいさつの仕方や信頼してもらうためのコミュニケーションの取り方の練習になりますから。
ラポールを築くということには、マニュアルがありません。相手の立場に立って、人が心を開いたり真剣に向き合ったりするポイントはどこにあるのか、相手の体の向き、距離、表情などをしっかり観察してみてください。そこにヒントがあるはずです。
こうやって普段の生活から人付き合いやコミュニケーション方法を学ぶことも、占い師としての活動に役立つと思って取り組んでみてください!
占的を絞るには、できるだけ多く「的」を出すこと
占的を絞るには、できるだけ多く「的」を出すこと
お客様と信頼関係を築けたからといって、「お客様の言葉」をそのまま信用してはいけません。本人でさえも本当に占いたいことを認識できていなかったり、それをうまく言葉で表現できなかったりする場合もあるからです。
では、どうすればいいのでしょうか?
鑑定に入る前に、お客様にヒアリングをしながら、占的(占う内容)を絞ることが重要になります。「こんなことやこんなことを占うことができます」という提案をいくつも重ねて、本当の「的」を探り当てるのです。
この提案数が少ないと、お客様が本当に占ってもらいたい「的」をハズした占いになりかねません。
具体的な例を挙げると、お客様の心の中には「腐れ縁のあの人とどうやったら切れるんだろう」という悩みがあったとします。そこで、占い師から「出会いについて占いますか? それとも、相性ですか?」と聞かれると、お客様は「出会いは違うから、相性をみてもらおうかな」となるはずです。しかし、本当はあの人との苦しい関係を何とかしたいと考えているのですから、相性について占ったところでお客様にはまったく響かない、ということになってしまうのです。
この場合、もっと多く選択肢を与えていれば、お客様は自分の占いたいことを見つけて選んでくれたかもしれません。選択肢は多いほうが、正しい「的」を選んでもらいやすくなるのです。
一方で、あれもこれもとお話を膨らませて、「的」を出しまくるお客様もいらっしゃいますよね。そういう場合は、増えすぎた「的」を占い師が整理して絞ってあげる必要があります。
まったく情報を明かさないお客様は、どう対応するべき?
まったく情報を明かさないお客様は、どう対応するべき?
中には、まったく情報を明かさないお客様もいます。芸能人と付き合っているといった事情があって詳細を言えない方や、状況が複雑すぎて説明を放棄している方などです。
例えば、恋愛を占う場面で「決まった人がいるのですか?」と聞いても、何も答えてもらえなかった。そんなときは、「では、恋愛運を占いましょう」と言って、表面上は現在の恋愛運気などを占いながら、「“本当の的”は何か?」という裏の質問を脇でこっそり占っておくといいでしょう。タロットの一枚引きをしたり、チャートを立てたり、やりやすい方法でOKです。
そして、この裏の占いの結果を考慮しながら表の鑑定を進めてみてください。裏の占いが当たっていれば、お客様のほうから少しずつ本当に占いたいことを明かしてくれるはずです。
ただし、お客様自身が話そうとしないことは、その人にとってトラウマに関わるような事柄であることも多いです。下手に刺激すると、心の傷に触れてお客様の態度がかたくなになってしまう可能性もあります。安易に本題に触れずに、周辺をなぞるような質問を投げかけるようにしましょう。万が一、相手を探っていく過程で地雷を踏んでしまったら、素直に謝った上で、今回は本質に触れず別のことを占うしかありません。
また、「何も言わないから当てて」などと、占い師を試そうとするお客様もいるでしょう。そうやって試してくるお客様の鑑定は、占い師自身も楽しんでしまいましょう! ハズすことを恐れずに堂々と占って、ハズしたらサッと謝る。そのときのリアクションによっては、お客様とラポールを築けたりすることもありますから、ある意味チャンスかもしれません。当たらなかったとき、うろたえずにうまく流れを作る練習もしておきたいですね。
コールドリーディングをうまく役立てるには?
コールドリーディングをうまく役立てるには?
コールドリーディングのテクニックを活用すると、お客様と信頼関係を築いたり、占的を絞ったりする際にとても役立ちます。
例えば、何を占うか提案するときに、お客様のしぐさや表情の変化をキャッチして、本当に意味のある「的」はどれかを探っていくといったやり方です。ほかにも、お客様の服装や話し方などから職業や性格を推測して、提案する質問の内容に反映させてみましょう。
このように、コミュニケーションの中でコールドリーディングを使うのはいいのですが、占断には直接反映させないようにしてください。コールドリーディングは、結局のところ占い師の主観にすぎません。占いの結果をゆがめたり、あたかも自分が占ってわかったことのように伝えたりしてはいけません。また、占いに必要なこと以外のお客様情報を事前に調べるホットリーディングは、占いにおいては詐欺行為に直結するので、絶対にやめましょう。
占い師同士の鑑定練習の落とし穴
占い師同士の鑑定練習の落とし穴
占い師同士で練習会をする場合もありますが、今回のようなケースは、練習の場では意外と再現しにくいのです。占い師が相談者になると、当然ですが占いの鑑定に慣れているので、最初からちゃんと占いたい内容を整理して相談するからです。
ですから、もし占い師同士で鑑定会をするということがあれば、わざと本質的な悩みからちょっとズレたことを相談してみるといいでしょう。練習相手の占い師さんが、本当の「的」にたどりつくかチェックしてみてください。そうやって、占うべき「的」、占うべきでない「的」を見極める練習をしてみると、今後の鑑定にかなり活かされるのではないかと思います!
2022-2-26