会社を辞めてやっていける? 専業占い師に必要な準備とは…

――占いをなりわいにしている人が抱える悩みや不安。1人で考えても解決しないことも多いでしょう。これまで多くの占い師の相談にのってきた、占いカフェ&バー「燦伍(さんご)」のオーナー占い師である千田歌秋さんが、あなたのお悩みにお答えします!

第18回

会社を辞めてやっていける?
専業占い師になるために
必要な準備とは?

「会社員として働きながら、個人で占い師として活動しています。いつか会社を辞めて、占い師一本で働きたいのですが、専業になるためにはどんな準備が必要でしょうか?」

今回の相談者のような悩みをお持ちの方は結構多いのではないでしょうか。私もよくこういった相談を受けることがあります。

そもそも、専業占い師と兼業・副業占い師の違いとは何でしょうか?

専業占い師とは、「専ら」という漢字を使うように、ほぼ占い師の仕事だけをする人です。一方、兼業占い師は、占いの仕事だけでなく複数の事業を同時並行して掛け持ちする人、副業占い師は、本業をしながらサブとして占い師の仕事をしている人のことをいいます。バーテンダーと占い師、二足のわらじを履いている私は兼業占い師ですね。

専業占い師になるために必要な準備についてお話しする前に、「果たして、専業占い師になるのがいいことなのか?」ということについて考えてみたいと思います。

専業だから、
副業だから…
そんな固定観念は
捨てましょう

「専業だから、副業だから…」
そんな固定観念は捨てましょう

「占いだけで食べていけるなんてうらやましい」という声をよく聞きますが、だからといって専業占い師が副業占い師よりも稼いでいるとは限りません。

たとえ占いの収入が月間5万円ほどでも、それで生活に困らなければ専業としてやっていけるわけです。逆に、家族を養うために月間50万の収入が必要ならば、たとえ占いで30万円の収入があっても、副業占い師、兼業占い師として占い以外の仕事でも収入を得なければなりません。

そうすると、「専業占い師だから稼いでいる」とか、「副業占い師は片手間のようなもの」といった固定観念は無意味なものだと思いませんか。重要なのは、自分にとって最適なスタイルを見つけることではないでしょうか。

専業占い師を
目指さないほうがいい!?

専業占い師を
目指さないほうがいい!?

占いで食べていきたいという方に、私はよく「専業占い師を目指さないほうがいい」と言います。もちろん「ならないほうがいい」とは絶対に言いません。しかし、「目指さないほうがいい」というのにも、それなりの理由があります。

専業占い師とは「目指してなるものではなく自然となっていくもの」だからです。専業占い師として成功している方の多くは「まずは、いい占いをしよう」という意識で地道に活動を続けていた人でしょう。その結果、専業でやっていけるようになっています。

逆に、専業占い師を目指そうとして、「いい占いをすること」を二の次にしてしまうと、結局、占い師として成功する未来からは遠ざかってしまうでしょう。

専業占い師を目指す人が
陥りがちなワナ

専業占い師を目指す人が
陥りがちなワナ

「専業占い師を目指す」とは、占いだけで生計を立てようとすることですから、とにかくお金を稼ぐのが第一の目的になってしまいます。必然的にお金になる仕事、割のいい仕事しかしなくなるでしょう。正当な理由もなく鑑定料金を吊り上げたり、依存気味のリピーター相手にあえて長時間鑑定を行ったりと、誠実な占いをするというところからどんどん離れてしまう可能性があります。

専業占い師を目指して、「月にいくら稼ぐ」と目標を立てたために、自分のやりたい占いから離れてしまったり、お金にならない仕事を軽視したりすることになりかねません。

中には、真摯に自分の占いをしながらお金を稼げる方もいます。ただ、こういった方は、「とにかく食っていくために」というよりは、「とにかくいい占いをしよう」ということを目指しているはずです。

専業占い師に
なるために
必要な準備とは?

専業占い師になるために
必要な準備とは?

専業占い師とは、そのほとんどがフリーランスですから、依頼が来ない、あるいは病気やケガで働けなくなり、収入がゼロでも生活費や必要経費は出ていく、ということもしばしば。常に赤字になる不安がつきまといます。お金を稼ぐことが第一目標になってしまうのは、そうした不安によるところも大きいでしょう。

安定収入があることは、占い師にとってメリットにもなります。今回相談をしてくださった方にも、簡単に会社を辞めないほうがいいですよとお伝えしたいです。今の環境を活かしながら、徐々に占いの仕事に比重を移していき、会社を辞めざるを得なくなるほど依頼が増えたら退職するのがいいと思います。

以上のことから考えると、専業占い師になるために確実に必要な準備とは、やはりお金ですね。1~2年くらい生活できる貯金があれば、生活の不安を考えずに占いの仕事に邁進できます。2年間集中的に活動すれば、自分の占い師像が見えてくるはず。そこで専業占い師でいくのか副業占い師に戻るのかを決めてもいいでしょう。自分に合う働き方を模索してみてください。

専業か副業かといった形にこだわりすぎないことです。アマチュアとして収入度外視で研究に没頭するのもいいでしょう。その業績が評価され、オファーが来て専業占い師になることだってあるかもしれません。

魂のこもった占いは
お客様に必ず届いている

魂のこもった占いは
お客様に必ず届いている

占いの仕事は、鑑定に限らず、占い記事の執筆や占術の講師、占いイベント主催など様々です。視野を広げていくのが、専業の道を開くことにもつながるでしょう。やり方は無数にある中で、とにかく「お金を稼ぐのは結果であって、それを目的にはしない」ということを忘れないでください。

本当にファンになってくれるお客様が来てくれるかどうかは、あなたの占いが心血を注いで提供されたものかどうかで変わってくると思うのです。魂のこもった占いはちゃんとお客さまに届いています。ですから、「いい占いをする」という意識を持って、チャレンジを続けていきましょう。

2022-12-29

著者プロフィール

千田歌秋(せんだ・かあき)

千田歌秋(せんだ・かあき)

占いカフェ&バー燦伍(さんご)のオーナー占い師であり、バーテンダー。飲食と占いの融合とホリスティックな癒しをテーマに、占い鑑定と開運メニューを提供。店舗経営と占い鑑定のほか、占い師の育成やマネジメント、占いイベントの企画監修も行うなど、様々な占い事業を展開している。
著書に「ビブリオマンシー 読むタロット占い」(日本文芸社)、「はじめてでも、いちばん深く占える タロットREADING BOOK」(学研プラス)がある。

HP https://khakisenda.wixsite.com/eranos

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