

6月9日(水)
占いとお笑いを並行するようになって3年目に入った今年2月、女性編集者のSさんから「本を出したい」という旨のDMをいただいた。半信半疑のまま Zoomでの打ち合わせを重ね、ようやくこの6月9日に神保町で直接の打ち合わせという運びになった。
このSさんは、ほぼ無名に近いぼくをどういうわけか見出し、自身の会社にプレゼンし、ぼくが所属する吉本とつないでくれた人だ。彼女のプランでは12月にこの本を発売し、そのためには9月中には中身の執筆を終えていることになっている。果たしてそんなことが本当に可能なのか、誰かに占ってほしい気持ちを抱えながらこの原稿を書いている。
コロナの影響でがらんとしたビルの一室で、Sさんが持ってきてくれたたくさんの参考資料としての占い入門本に目を通しながら、ちょうど3年前の今の時期を思い出す。
ぼくと占いの出会いは2018年、ザッパラス主催の『占い芸人育成グランプリ』だった。
出典:PRTIMES
この頃のぼくは、35歳というあらゆるジャンルの成功者がとっくに結果を出している年齢だった。M-1もダメ、キングオブコントもダメ、劇場での出番があるわけでもない。そんななかでとにかくアルバイト以外のことをやりたいと思ってオーディションに参加した。テレビに出ている先輩や劇場でたくさんのファンを持つ後輩に混じって、何にもないぼくは唯一ほかの人よりちょっと知識がある「映画」を占いにかけ合わせて、何とかグランプリで優勝することができた。
自分より秀でた人たちのなかで抜きん出でるには、自分が得意なものをかけ合わせないといけないということをそこで学んだ。それに道しるべを与えてくれる人がいないと、世のなかには出せないということも、そのときに知った。
「映画占い」というものを最初に「面白い」と言ってくれたのが、企画の講師のまついなつき先生だった。よくわからないやつがいきなり自分流にアレンジした占いの意図をくんでくれて、アドバイスまでいただけた。このときのアドバイスがあったから、今何とかアルバイトをせずに占いの仕事のお給料で食べていけている。
そもそもぼくはお笑いが大好きで、とんでもないプライドを引っさげて芸人の世界に入った。自分がやりたいことをやって、それで売れてやろうというエゴの塊のような状態が10年以上続いて、結果、何者にもなれなかった。
ここだけの話だが、ぼくは占いに対してのプライドは持ち合わせていない。子どもの頃から描いていた夢でもない。しかし、だからこそ人のアドバイスを聞き入れることができた。占い師になりたくてなりたくてこの業界に入っていたら、まつい先生のアドバイスも聞き入れることができなかっただろう。
そう考えると、この出版も先行きがすこしだけ明るい。「本を出す」ということに対してのプライドがないからだ。あまたいる占い師のなかからぼくをピックアップしてくれたプロ編集者のSさんに出版に関することはすべて任せればいい。
この日は占い的に見ると、ぼくの7ハウスにトランジットの月が入っている。7ハウスは「対人関係、パートナーシップを結ぶ」という意味だ。中途半端な我を捨て、この人をパートナーとして頼っていいのだと思う。社内の編集会議であまりにも熱が入りすぎたSさんが何をプレゼンしているのかよくわからなくなり、この企画が1回落ちかけたことをのちに聞いたときは少しだけ心配になったが。
さらにこの日は、情熱を表すトランジットの火星がぼくの9ハウスにちょうど入った初日だった。9ハウスはまさに「出版」を表す。この火星は約3カ月かけてぼくの9ハウス、そして10ハウスを通過していく。10ハウスは「達成」を表す。火星が10ハウスにいる9月中に、ぼくは執筆を終えるという「達成」を果たせているだろうか。この占いは当てたい。
2021-6-27
執筆がんばってください!本が出るの楽しみです!!