
6月21日夏至の日に開催されたオンラインイベント「占いギャザリング2022」。 『占いNEW NORMAL』をテーマに、占いをなりわいとする方々と異業種の専門家がさまざまなテーマで語り合いました。今回は、全10セッションの各内容を少しだけご紹介します。
老舗書店が見つめてきた歴史といま イギリス今昔占い事情
- THE ATLANTIS BOOKSHOP
- 鏡リュウジ(占星術研究家・翻訳家)
「イギリス今昔占い事情」について、鏡リュウジさんと世界で最も古いオカルトショップTHE ATLANTIS BOOKSHOPのオーナー・Geraldine Beskinさんが英国との生中継で対談しました。
イギリスではオカルトショップがコミュニティのハブの役割を果たしており、店ではさまざまな情報が手に入るとともに、他のオカルトファンと交流できるのも魅力のひとつだと言います。100年の歴史を持つ老舗書店・THE ATLANTIS BOOKSHOPが見つめてきた英国の占いにまつわる興味深いお話を鏡さんが引き出していきます。
以前、オカルトは「完全に男性中心の文化」であったという意外な話から、時代の変化とともにオカルトを受け入れる層がどう変わったのか、実際に店で販売している商品の紹介など、さまざまなことが語られました。若かりし頃の鏡さんが、初めてTHE ATLANTIS BOOKSHOPを訪れたときのエピソードなど貴重なお話も飛び出します!
(文=きいろいたてせん)
バーチャルAI占い師はつくり出せるのか? AIの進化から考える「占い師に必要な要素」
バーチャルAI占い師はつくり出せるのか?
AIの進化から考える
「占い師に必要な要素」
- 三宅陽一郎(ゲームAI研究家・開発者)
- 明翁ヘカテ(占術家)
今回は「AI占い師は作り出せるのか?」という切り口から、人工知能の研究者・三宅陽一郎さんと占術家・明翁ヘカテさんが語り合いました。
まずは人工知能って何? という初歩的なお話から始まり、AIに「占い」はできる? そもそも「占い師に必要な要素」とは? と、徐々に掘り下げていきます。どれも難しそうに思えますが、和やかな2人の語り口によって、あっという間に引き込まれてしまいました。
特に『占いは執着を「取っていく」作業だが人工知能は執着を「埋め込んでいく」作業が必要』から始まる一連のトークは、「占い」を通じて人とAIの違いが明確に浮き彫りになり、一見の価値ありです。
そうして人工知能を通じて改めて「占い」について考え直す、ワクワク気分が味わえる40分間でした。
混沌のいまこそ求められるオカルト力 正しいオカルト入門
- 三上丈晴(ムー編集長)
- いけだ笑み(占術家)
ムー編集長の三上丈晴さんに、いけだ笑みさんが占いを絡めながら切り込んでいくオカルト談義です。いけださんがジョー・マクモニーグルのファンであることから、往年の人気TV番組『FBI超能力捜査官』(日本テレビ系)の裏話で盛り上がりました。
ムー編集長として三上さんが考える優秀な占い師とは、技術・対話力・霊能力の3つの資質を持っている者なのだそうです。加えて、占い結果を適切な表現で伝えるセンスも重要だと言います。長い歴史の中で、多くの占い師を取り上げてきたムーの編集長だからこそ語れる占い師の資質とは? 興味深いお話が次々と飛び出します。
その後、話題は人間の「意識」にも広がっていき、まさに今こそ「人間とは何か」という、究極の命題を考えていくタイミングであると締めくくります。
(文=きいろいたてせん)
世界がひとつでなければ人の考えはどう変わる?
最新の宇宙論から考える
新しい占星術の世界
世界がひとつでなければ人の考えはどう変わる? 最新の宇宙論から考える新しい占星術の世界
- 野村泰紀(理論物理学者・宇宙論研究者)
- ぐら(古典占星術師)
最近映画などでもよく聞くようになった「マルチバース」とはどんなものなのでしょう? このセッションでは、その世界的第一人者の野村泰紀さんをお招きして、古典占星術師のぐらさんと共に最新の宇宙論に基づいて語っていただきました。そしてタイトルにある占星術な宇宙観との違いだけに留まらず、それこそマルチにお話を広げていただきました。
マルチバースにも種類がある? 占星術の時間の流れと最新宇宙論の時間の流れはどう違う? というお話から、空間や意識をどう定義するかや、果ては世界観そのものをどう捉えるかという、奥深いお話まで。
熱意に満ちた2人のトークから、一筋縄では語れない、だからこそ魅力的なマルチバースの隙間を垣間見られた時間でした。
なりたい自分になれる世界で人は悩むのか? 近未来の悩みと占い
- バーチャル美少女ねむ(美少女バーチャルYouTuber)
- ニシー(#占う男)
「近未来の悩みと占い」をテーマに、バーチャル美少女ねむさんと、ニシーさんが語り合いました。
メタバースの世界では、アバターを使って性別も容姿も現実とは全く違う自分として存在することができます。10代の頃の経験から、なりたい自分になれる仮想空間(VR)に多大な関心を寄せるニシーさんが、ねむさんに質問を投げかけました。
「なりたい自分になれるVRの中にいて悩みはあるのか?」という問いに、ねむさんは「選択肢が増えた分、悩みも増えた」と言います。しかし、自由にできることが増えたため深刻な悩みは減ったのだそう。
今回のセッションでは、仮想空間を作るための機材の性能や金額、肉体を伴う自分だけが真の自分ではないという考えに辿りついたイデア論、人の脳の可能性についても話が及び、気づけばメタバースの世界にぐいぐいと引き込まれてしまう、あっという間の40分となりました。
(文=きいろいたてせん)