占いのせいでお客様が大失敗。自信を取り戻したい…

――占いをなりわいにしている人が抱える悩みや不安。1人で考えても解決しないことも多いでしょう。これまで多くの占い師の相談にのってきた、占いカフェ&バー「燦伍(さんご)」のオーナー占い師である千田歌秋さんが、あなたのお悩みにお答えします!

第9回

占いのせいでお客様が大失敗。
自信を取り戻したい…

「自分の占いのせいでお客様が大失敗。以来、鑑定結果を自信を持って伝えることができません……」

当然のことながら、占い師は神ではないので、すべてを当てることはできませんし、すべてのお客様を幸せにすることなどできません。人間であれば、誤った占断をしてしまうこともあるでしょう。

その結果、あなたの占いを信じたお客様がその影響を受け、時には大きなダメージをこうむってしまうこともあり得ます。そんな報告を受ければ、申し訳ないという気持ちと、自分では責任を負いきれないという苦悩を、抱えることになるかもしれません。

占い師が自信を
喪失してしまう例とは?

占い師が自信を喪失してしまう例とは?

通常であれば、たとえ間違った占いをしてしまったからといって、占い師にそこまで大きなダメージが来るようなことはないはずです。

しかし、想像してみてください。社運を賭けた重要な判断、巨額の投資をするべきか否か、もう後がない人生最後の挑戦など、プレッシャーのかかる相談をあなたが受けたとしましょう。

そして、あなたの占いが外れたことによって、何百人もの社員の雇用や、数十年かけて積み上げてきた資産、すべてを犠牲にしてきた労苦が、一瞬にして無に帰してしまったとしたら、どうでしょう。

相談者本人だけでなく占い師も、なかなか厳しい精神状態になるのではないでしょうか。それがトラウマとなり、占い師が自信を喪失してしまう例は、少なくないのです。

占い師がお客様の人生の
局面にかかわることも

占い師がお客様の人生の局面にかかわることも

占いの活動内容や場所によって、こういった責任の重い相談の多寡は変わってきますが、ビジネス街や都心部にある、個人サロンまたは老舗の占い処で、料金の高い対面鑑定であれば、そのようなケースは多くなります。

また、一度、経営者や芸能関係の顧客の信頼を得ると、同じような方々が紹介で来るので、プレッシャーのかかる相談が増えていくでしょう。占い師は、間接的ではありますが、人生の重大な局面にかかわっていくことになるのです。

実際、占いがお客様の人生を左右することは数多くあります。ただ、誤解しやすいのですが、お客様の人生を左右しているのは「占い」であって「占い師」ではないのです。

これは似て非なるものなので、あなた自身が相談者の人生を左右しているわけではないということをしっかり把握しておくことが重要です。左右するのは「占いの言葉」であり、それを受けた「相談者の心境や行動」なのです。

お客様の人生ではなく
“占い”に責任を持つ

お客様の人生ではなく“占い”に責任を持つ

そう、占い師であるあなたは、自分の占いに責任を持つのであって、お客様の人生に責任を持つ必要はないわけです。

占い師と共同事業者の違いはそこにあります。もしあなたが、ある顧客のビジネスパートナーとして、コンサルや占いをする契約であれば、数億円の投資の失敗の責任を問われるかもしれません。そしてその場合、成功した時の報酬は、数千万から一億円になるでしょう。

ところが、あなたは一般の占い師なので、高くても1時間1万円から数万円で占いをすることになります。それは、その顧客が占いという専門的な業務を依頼する、いわばアウトソーシングです。

請け負うあなたが占い師の役割を果たしさえすれば、占い結果を顧客が活用して、成功しようが失敗しようが、その責任は問われないのです。

非常に重要な決断について占う時は、

  • あくまでも占いであること
  • 現時点での占断であること
  • 効果を保証するものではないこと
  • 占い師はお客様の機密情報や鑑定結果などをすべて覚えているわけではないこと

などを、お客様にもしっかり認識してもらうことが大切です。

占い師の責任のありかを
心得ておこう

占い師の責任のありかを心得ておこう

占い師と顧客は、占いが始まる時に契約を交わし、占いが終われば契約は終了です。

占い師という存在は、旅人を見送る旅館の主人のようなもの。顧客に次の道筋を伝えてお見送りをしたら、持ち場に戻りましょう。顧客と一緒に人生を歩いてはいけませんし、その人がトラブルに遭ったり、事件を起こしたりしたと聞いても、フォローに向かう必要はありません。

それらは占い師の仕事ではないからです。責務を果たすのは占いだけであることを、肝に銘じておくといいですね。

このように、責任のありかを心得ることで、占いそのものに集中できるようになり、その後の相談者と占いを切り分けて考えることで、自信を持って占断結果を伝えることができるようになるでしょう。

2022-03-17

著者プロフィール

千田歌秋(せんだ・かあき)

千田歌秋(せんだ・かあき)

占いカフェ&バー燦伍(さんご)のオーナー占い師であり、バーテンダー。飲食と占いの融合とホリスティックな癒しをテーマに、占い鑑定と開運メニューを提供。店舗経営と占い鑑定のほか、占い師の育成やマネジメント、占いイベントの企画監修も行うなど、様々な占い事業を展開している。
著書に「ビブリオマンシー 読むタロット占い」(日本文芸社)、「はじめてでも、いちばん深く占える タロットREADING BOOK」(学研プラス)がある。

HP https://khakisenda.wixsite.com/eranos

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