
占いをなりわいとしている人はどんな本を読んでいるのか。あの人の考え方や視点はどうやって生まれたのか。本との出会いやエピソードともに偏愛している本を紹介してもらいましょう。
マンガ家・手相家/卯野たまご
世界を広げてくれた
2つの本と言葉
高屋奈月『フルーツバスケット』
益田ミリ『ふつうな私のゆるゆる作家生活』
本は私にとって言葉との出会いの場です。
自分の中にはない言葉との出会いは世界を広げてくれました。
私にとってとても大切な言葉と出会った本を、というか言葉を2つご紹介させてください。ひとつは高屋奈月先生の『フルーツバスケット』です。

これは十二支の姿になってしまうという奇妙な体質を持つ人物たちのお話です。それぞれに傷ついた過去を持ち、闇を抱えながらも自分という存在を受け止めていく、とても愛のある漫画です。子供ながらに読んでいてたくさん考えさせられた素晴らしい作品でした。
その中に私にとって運命の言葉がありました。その言葉は私が人生で迷った時にコンパスになってくれました。1人の女の子のセリフです。
『私の幸せは私が決める』
引用:フルーツバスケット/高屋奈月(白泉社)
漫画の登場人物たちは運命に翻弄されて苦しんでいる。私はそんな登場人物たちに自分を重ね感情移入をしていた。でもこのセリフは私の中のそんな考えをふっ飛ばしてくれました。
環境や運命によって人は確かに苦しむ。でも自分の幸せは自分で決めるという最大の決定権が自分にあるということを教えてくれました。
私も自分の環境や運命を恨んでいた時がありました。恨み続けるか諦めるかしかないと思い込んでいた所に、この言葉が風穴を開けてくれました。自分で選んでいいのだと。決めるということは、選んでいいということを自分に許すことだと。
環境や運命のせいにしたらラクです。でも自分を生きると決めたら、幸せを選ぶ楽しみができます。ラクから楽しみへ。私はこの言葉と出会って、自分を生きる挑戦をはじめることができました。環境や誰かのせいにして諦めて生きるではなく、挑戦して生きることを選べました。

もう1冊は自分を生きることを思い出すきっかけになってくれた言葉です。自分で幸せを選ぶために自分を生きることは決してラクではなかった。むしろたくさん傷つくし苦労も多い。夢も中々叶わない。そうしている内にどんどん自分を生きることから離れてしまう。挑戦することに諦めかけた時に、自分を放棄しようとしていた時に読んだのが、益田ミリさんの『ふつうな私のゆるゆる作家生活』です。
これは本当に夢が中々叶わなくて苦しかった時に助けてもらった本です。その中にはこんな言葉が出てきます。
『世界に1人しかいない私を私が守るんです』
引用:ふつうな私のゆるゆる作家生活/益田ミリ(文春文庫)
これも私の頭をパッカーンとしてくれました。なんてこった!と思いました。
そんな考え持ったことない!自分を守ってもいいんだと、目から鱗どころじゃなく目から鯛が出てきそうでした。
私は私という存在を全く生きていなかったんだと気がつきました。自分を蚊帳の外に置いて、夢や外側のために生きていた。自分を大切にするなんてこと考えもせずに自分を無視してきたんだと…。
こんな状態で夢が叶ったとしてもきっと私は幸せじゃない。
だって今、私は私の幸せを選んでいないから。
そう気づかせてくれました。
私の幸せを私が選ぶこと、私が私を守ること、それは自分を愛するということ。自分と手を繋いで自分と生きていくということ。自分を生きることは、自分と生きていくことなんだとこの言葉たちが気づかせてくれました。
どんなことが起こってもどんな人生になったとしても、最後まで一緒に生きるのは私自身。今までも今も、これからも私は私として生きていく、そんな勇気をくれました。私は私でよかったと思えるように生きていく、それが自分を愛して生きていくということ。
私でよかったって思えたら、きっとそれが私の選んだいちばんの幸せです。
2021-11-14
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もうちょっと深い話、引き出してほしいですね。もったいない。