
――占いをなりわいにしている人が抱える悩みや不安。1人で考えても解決しないことも多いでしょう。これまで多くの占い師の相談にのってきた、占いカフェ&バー「燦伍(さんご)」のオーナー占い師である千田歌秋さんが、あなたのお悩みにお答えします
第三回
情報を明かさず「当ててみろ」
という挑発的な態度…
どう対応する?
全く情報を明かさず「当ててみろ」と言わんがごとく挑発的な態度で座り、何を言っても「当たってない」とイラつくお客様。こういう方へはどう対応するのがいいのでしょうか?
そんな人がいるのか、と驚かれる方もいるでしょうが、ごく少数とはいえ、確かにそういったお客様はいます。そうなる動機や原因は、二つ考えられます。
一つは、占いを否定したい場合です。この手のお客様は、そもそも占いが嫌いなことも多く、事前登録が必要な電話占いやチャット占い、予約制のサロンなどにはあまり来ないタイプです。無料での占い、観光地の占い処、イベントや交流の場では出会うこともあるので、そういった活動の多い方は、念のため対策を練っておきましょう。
もう一つは、精神的に追い込まれている場合です。こういったお客様は、わざわざ事前に予約を取るとか、交通機関を使って出かけていくような対面占いよりも、切羽詰まった時にすぐ依頼できる、電話占いやチャット占いに集まってくるでしょう。
占いを否定したいお客様への
対処法二つ
占いを否定したいお客様への
対処法二つ
占いを否定したいお客様に対しては、その人の持つ占いのイメージを覆すことが重要です。それができると、否定派から肯定派に180度転向する可能性があるのです。
方法は二種類あって、一つ目は、占いについて深い話をすること。もちろん、あなたが該博な知識を披露できる占い師であることが前提ですが。たとえば、「占星術は天動説を前提としている時点で間違っている」と主張されたら、「確かに科学的に正しいとはいえないが、現代の天文学が宇宙の中心を明確に提示できない以上、自分が立っている地上を中心に星の運行を見るのは自然のこと」などという返答が有効だったりします。
ただし、「太陽を中心とした占星術もある」などと「ではなぜそれが一般的になっていないのか」という突っ込みを入れられるような説明をしては元も子もありません。幅広い教養を身につけ、論理的な思考の訓練をしておく必要があるでしょう。
二つ目は、とにかく当てること。否定派の人が納得するほどの話術に自信がなければ、とにかく何の情報も得ずにズバリと当てるしかありません。一発勝負の占断に集中しましょう。お客様が何も情報を出してこない場合は、その人に関するできるだけ具体的な事柄、最近読んだ本、財布に入っている現金の金額、実家の外観、ペットの種類など、自分の得意な占術を使って「つかみ」の占いをするといいですね。具体的なことをピンポイントで当てる占いを、普段から練習をしておくことをおすすめします。
精神的に追い込まれている
お客様の場合は?
精神的に追い込まれている
お客様の場合は?
もう一つの、精神的に追い込まれているお客様の場合は、どうすればいいでしょうか。この場合、上に述べたやり取りはむしろトラブルのもとになります。占術についての深い話も、ピンポイントの占いについても、受け入れる心の余裕がないからです。また、いくら素晴らしい占断をしてもらっても、借金苦にあえいでいたり、見込みのない恋愛で苦しんでいたり、リスクのある起業をしてもう後には引けないなど、心の余裕がない状態では、認めたくない結果であれば、当たっているのに当たっていないとムキになってしまうものです。
そんな時、お客様の理不尽さを正すのではなく、その理不尽さに寄りそうのがプロです。自分が正しいことを証明することではなく、お客様の意に添う鑑定ができていないという自分を冷静に受け止めることに、占い師としてのプライドを持ちましょう。
場合によっては
鑑定の辞退を打診する
場合によっては
鑑定の辞退を打診する
お客様の感情がヒートアップするようなら、根も葉もないクレームや人格否定にまで発展することもありますから、鑑定を続けない方がいいですね。まずは「満足していただけるような鑑定ができず申し訳ありません」と真摯に謝罪をして、「私では力不足でしょうからほかの占い師にご依頼ください」と丁重に鑑定の辞退を打診しましょう。そして、その後同じ方から鑑定依頼が来ても、力不足を理由に依頼を受けないことをおすすめします。
占い師としては、プレッシャーの大きなお客様です。ですが、こういったお客様にうまく対応できれば、困難なミッションをクリアできたという勲章を手に入れたことになるでしょう。占い師としての余裕と風格が出てきます。